コピーライター養成講座 卒業生レポート 人気フットサルチームのポスター制作から学んだ「自主プレゼンのススメ」
2015年に開催した「コピーライター養成講座 先輩コース」。第1期の修了生は、自ら仕事を生み出す力を磨き、受講後に実際の案件につなげました。今回は、濱口雅司さん、桜井奏さん、後藤優佳さんという所属の異なる3人がチームを組み、Fリーグで活躍するフットサルチームのポスターを手掛けた事例を紹介します。(本記事はアドタイにて、2016年2月2日に掲載したものを加筆修正したものです)
左から桜井奏さん、濱口雅司さん、後藤優佳さん。

――なぜ3人で「バルドラール浦安」というフットサルチームのポスターを手掛けることになったのかを教えて下さい。

後藤:もともと3名とも職場が恵比寿という共通点があり、コピーライター養成講座先輩コースに通っていたときから、「なにか一緒にしたいね」と話していました。

濱口:そんなとき、同じ先輩コースの受講生が、あるフットサルチームが告知用のツールをつくるためのパートナーを探している、ということを教えてくれました。そこで、つないでもらい、提案のチャンスをもらったんです。

 

――クライアントである「バルドラール浦安」からはどのようなオリエンや要望がありましたか?

濱口:通常、フットサルチームはリーグ戦の開幕前に、年間を通して使えるポスターを作ります。大きなビジュアルにコピーを載せ、下部には対戦スケジュール。試合会場や近隣のお店などに貼ってもらうためのものです。

後藤:フットサル界とFリーグ全体を、このチームで盛り上げたい。「バルドラール浦安ってやるよね!」と思ってもらえるようなポスターを作りたい、という先方の思いがありました。シーズンが既に開幕している段階でもあったので、インパクトのあるポスター、とにかく面白いものをやりたい、というのがスタート地点でした。また、シーズン半ばから掲出するものなので、そのタイミングだからこそできることがしたいという思いもありました。

桜井:そういったクライアントの思いを聞いたあと、まず、目的の整理をしました。新規ファンの獲得なのか、休眠中のファンを会場にまた呼ぶことなのか、などです。でも、新しい人を連れてくるためには、ハードルがまだ高いと思いました。であれば、ファンの方の間で面白がられるようなものを作ったほうがいいだろうと。会話をしていくなかで、「バルドラール浦安」の代表もそう思っているはずだと感じ、方向性を決めていきました。

濱口:そうやって、ファンの間で面白がってもらえば、その人が友人を誘いやすくなるんじゃないかとも思いましたね。
その後、週一で、仕事の合間を縫って集まり、ラフをもち寄り、打ち合わせを重ねました。実は、提案をする時期に、バルドラールはやや調子を落としていたんです。そこで、見つけたテーマが「革命」だったんです。

桜井:掲出を予定していたのは、強豪チームである「名古屋オーシャンズ」との試合前で、注目度がとても高い時期でした。そんな強い相手を前にしたときこそ、逆境の中だからこそ、出せる力があるんじゃないかと思ったんです。例えるなら、それは辛い状況下で「革命」を起こそうという民衆の団結力、気概のようなものではと考え、それを表現する企画にしました。

 

濱口:もともとはポスターを作りたいという要望だったのですが、プラスアルファで、SNSを使った企画や動画のアイデアなども提案しました。
最終的には、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」のパロディをしたポスター案が採用されました。このビジュアルと「強い相手がいるから、革命があるんじゃないか」というコピーを特に気に入ってくださりました。

【バルドラール浦安 代表 塩谷竜生さん 今回の提案を採用したポイント】

今シーズンはチームの調子が上がらず苦しんだ前半戦でしたが、後半戦に向けて改めて巻き返しを図る決意のもとで、「革命」というキーワードがチームの目指すものと一致していたことがあります。
また、何かをきっかけに話題作りをしたいと考えており、真面目に「パロディ」が出来ないか?と考えていた中で、提案をいただいた図案、内容がマッチングしたことに尽きると思います。
出来上がりは、我々が想像していた以上のクオリティでしたので大変感激していますし、フットサルという狭い世界ですが、非常に大きな話題となったのは嬉しい限りでした。

――どういった場所に掲出しましたか?また、反響はどうでしたか?

桜井:掲出場所はホームタウンの浦安市内が中心です。チームとお付き合いのある地元のお店、地域のコンビニ、スポンサーの店舗、フットサルの試合会場などに掲出しました。

濱口:ファンからの反響がかなりあり、当初の予定から増刷をしました。貼るだけではなく、試合会場の抽選会で景品としてプレゼントしたのですが、上位の商品よりも、ポスターがいいって言ってくださる方もいました。最初はポスターを作りたいという話だったのですが、他にも団扇やフライヤーなどに展開されて、試合会場に来てくれたお客様に先着でプレゼントしました。

後藤:バルドラール浦安さんからも、前までもポスター作っていたんだけど、今回は特にクオリティが高いと誉めてもらいました。「他のチームの関係者からも、バルドラールさんのポスターいいねって言われたりして、正直驚いています」と言ってくれています。

リーグ戦が開幕してから、若者たちが「こんなのやりましょう!」というのを持ち込んできたという姿勢も気に入ってくれたんだと思います。実は、既に来シーズンの話ももらっていて、継続してポスター以外の制作物も提案もさせてもらえる予定になってます。

濱口:同じ先輩コースの修了生の中には、昨年話題になった「早慶戦」のポスターを制作した近藤くんと矢部くんがいました。僕たちのチーム発足後に、先にあちらが世に出たので、先を越された!と思いました。

桜井:奇しくも同じスポーツというジャンルで、しかも対戦系になるので、二番煎じみたいに見られないように意識しました。

 

――今、振り返ってみて、コピーライター養成講座先輩コースではどんなことを学び、その後に活かせていますか?

後藤:私以外の2人は営業を経験していたのですが、私はデザインが主でした。当時は、自分から仕事を取りに行くんだ、という姿勢がなかったのですが、講座ではその姿勢を学ぶことができました。

濱口:自主提案をやろうとか、自分からアプローチしてやろうっていう大きなきっかけをくれました。あとは考え方ですね。自分なりの視点でアプローチをしていくためのやり方は講座で学んだことだと思います。

桜井:自分たちで企画をこしらえて、世にだそうと思うのは誰でもできますが、そのための企画の作り方と企画書の作り方、持っていき方までを学ぶことができて、今も役立っています。

濱口:僕はディレクターで予算管理もするので、普段から数字を見ていますが、今回は自主提案だったので、利益は一旦置いといて、とにかく面白いことをやってみようということになったんです。それが自分たちの中で、大きな自信と経験になりましたね。

後藤:利益じゃなくって、思いを先に。講師もそう言っていたんです。思いは、通じるって。講師だからできるんじゃないか、なんて思いましたけど、でも実際に実現できて嬉しく思っています。

桜井:今までも、何かしたかったんだけど、そのやり方が分からなかった。実は私、宣伝会議のコピーライター養成講座にいくつか通った経験があるのですが、この先輩コースは、一番体力をつかった気がするんです。ただコピーを考えるのではなく、企画を考える課題が多くて。でも、それのおかげで鍛えられたんじゃないかと思います。とても具体的で、現実味があったので、若い方にはとてもためになる講座だと思います。



3人が通った「コピーライター養成講座 先輩コース」は惜しまれながらも2022年で一旦終了しましたが、担当していた講師陣はそれぞれ別のクラスを担当しています。

コピーライター養成講座 下東史明クラスコピーライター養成講座 岩崎亜矢・山根哲也クラスコピーライター養成講座×アートディレクター養成講座「アートとコピー」阿部広太郎クラスなどの詳細をぜひご覧ください。