広告業界の先輩が語る仕事内容 コピーライター③

コピーライター
COPY WRITER


吉川翼

子ども心を忘れない。
それが良い仕事に。

吉川翼(よしかわ・つばさ)
ADKマーケティング・ソリューションズ
コピーライター


2018年ADK入社。初年度よりクリエイティブ配属で、以来、コピーライターとして従事。TVCMからSNSのアカウント運営、リアルでのキャンペーン施策まで媒体にとらわれず企画を行なっている。
[受賞歴]
・JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール メダリスト
・日経MJ広告賞 最優秀賞
・BtoB広告賞
・産業技術広告賞 受賞など

自分の考えを面白がってくれたのが、広告・マーケティングサービス会社だった

学生の頃は、興味が転々としていて、専門的に学びたいことを見つけられずにいました。やりたいことがわからなかったので、大学は幅広く何でも学べそうな社会科学部に進学。入学してからも学ぶことを一つに絞らず、哲学や文学、経済学など、興味がある授業を受けました。

大学3年生の夏から、インターンシップに参加するための準備を始めます。自分には銀行や通信などの安定的な企業が合うだろうと考えエントリーシートを出したのですが、1次選考にすら通らず…。焦って業界の幅を広げようと広告・マーケティング業界も受けてみたら、スムーズに選考を突破。これには僕自身も驚きましたが、縁あってADKのインターンに参加することができました。

キャンペーンを企画したり、売り方を考えたり、インターンでの体験はとても楽しかったですね。自信はありませんでしたが、もしかしたら自分は企画職に向いているのかもしれないと考えるようになりました。

また、広告・マーケティング業界の方が、僕の話を楽しく聞いてくれたことにも相性の良さを感じました。僕は中国研究のゼミに所属していて、亀甲縛りの歴史について研究していたのです(笑)。手堅い会社では全くウケなかったのに、広告・マーケティング業界の人は目をキラキラさせて話を聞いてくれました。自分の考え方を面白がって受け入れてくれる環境で働いてみたいなと感じました。

目指すのは「広告・マーケティング業界のサツキちゃん」

本格的に就職活動が始まる頃には、広告・マーケティング業界に絞って選考を受けました。エントリーシートには、1行目に「広告・マーケティング業界のサツキちゃんになりたい」と書いていました。『となりのトトロ』のサツキちゃんのような、大人の視点も子どもの視点も持っている人でありたいという意味です。今の大人たちは、理屈や常識ばかりを優先して、子どもの時の視点を失っている。でも、大人の常識と子どもの心を併せ持つ中間的な視点の人になれたら、もっと世の中の楽しいことを顕在化させて、商品を売ることにもつなげることができる。この考え方は、今でも変わらず意識していますね。

気負わずにいることが、就活でも仕事でも大事。心の安寧のために

ADKでは、クリエイティブ職を希望する人のみ、配属前に試験を受けます。(※2021年の取材時はこの形式でしたが、2023年現在は新卒採用においてはクリエイティブコースとして初配属確定型コースを設けており、オープンコースで入社した場合にクリエイティブを希望の社員のみクリエイティブ転局試験が必要になっています。)合格する自信はありませんでしたが、インターンの時の企画が楽しかったので、思い切ってクリエイティブ試験を受けることに。すると、合格したのです。ただ、CM プランナーを希望していたにも関わらず、コピーライターとしての配属が決まり、とても驚きました。まるでハリー・ポッターの「組み分け帽子」のように、「君はコピーライター!」と職種が決まったのです。

僕は小説が好きでもなければ、国語の成績が良かったわけでもない。言葉に対して自信はありませんでした。さらに、当時はコピーとは何なのかすらよくわかっていませんでしたから、かなり戸惑いました。でもその結果、良かったこともあります。「ダメでもともと」という感覚があるので、先輩や上司から怒られたとしても、あまりダメージを受けることはありません。「できたら儲けもん」という感覚で、楽しく仕事をすることができています。

振り返ると僕は、これまでの人生で受験でも就活でも「第一希望」通りに行ったことがありません。でも後になって考えると、そちらのほうが自分に合っていたと感じるのです。だから、大きな選択の場面に出くわしても、「どうせ第一希望にならないだろう」という諦めと、「第二希望でも幸せになれるだろう」という楽観を持っています。この考え方で、就活でも自分のことを変に追い込まず、心に余裕を持つことができました。

この業界の良いところは、真面目すぎると怒られること

今は、大手外食チェーンのテレビCMや店頭キャンペーン企画、ADKの新卒採用のリブランディングなど、少しずつ大きな仕事も任せてもらえるようになりました。

相変わらず、コピーライターとしてやっていくことに自信はありませんが、この仕事が好きだと思えています。仕事をするたび、言葉が持っている可能性に気づかされる。最近は、表に出てくるキャッチコピーだけではなく、企画の裏にまで言葉が詰め込まれていることがわかってきました。コピーに触れれば触れるほど面白い部分がどんどん出てくるので、今後ももっと言葉を追いかけ続けたいと思っています。

僕がこの業界の良いところだと思うのは、「真面目」を否定される仕事だということです。企画が真面目すぎると怒られるって、こんなに幸せな仕事はない。真剣にふざけることが仕事になるというのは、すてきだなと思います。

真剣にふざけるということは、就活でも話した「サツキちゃんのような人になりたい」という考えとつながると思っています。「子ども心」を忘れては良い企画は生み出せないからです。例えば、世の中でヒットしているものは全て子どもの頃に楽しかった遊びの延長だといえます。「ポケモンGO」は子どもの頃の虫取りと一緒だし、「Instagram」は女の子たちがやっていたシール集めと一緒。表現の仕方が変わっているだけで、本質的には同じことを大人も楽しんでいるのです。そういったつながりを見つけるために、大人に浸かり切らない存在でいたい。そういう存在でいていいのだと認めてもらえることが、広告・マーケティング業界の良さだと思います。

自己PRの書き方に悩んでいる学生へ

自分が就活をしていた頃は、エントリーシートに自己PRとして何を書けばいいのかわかりませんでした。起業をしたとか、部活で日本一になったとか、一つのものを突き詰めた経験がなかったからです。でもそれは、裏を返せば、様々なことに目を向けてきたことの証明です。僕は飽き性な分、興味が分散してあらゆることに目が行くし、商品との距離感も保てています。今、エントリーシートに何を書けばいいのか、迷っている学生の皆さんも多いと思います。そういう人こそ、実は広告・マーケティング業界への適性があるのかもしれませんよ。

一方で、広告に対する「情熱」の重要性も感じます。どんなに優秀な人でも仕事をするうちに、必ず壁にはぶつかるものです。その壁を超えるためには、何度でもトライし続けなければなりません。そのためのエネルギーになるような、「広告が好きだ」と思う尽きない情熱は持っていてほしいですね。

※本インタビューは「クリ活」に掲載しているものです。
※情報は取材時のものです。
※広告界を目指す学生の方は「クリ活」を一度、手に取ってみてください。

 

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