- (過去採用した)講座の卒業生たちはどこが良かったですか。
- 5年ほど前に数名のコピーライターを採用しました。女性をターゲットにした商品が多くなってきたので、女性のコピーライターが欲しかったんですね。お客さんからも評判で、いまでも活躍していますよ。
評価のポイントは“素直さ”ですかね。ダメ出しに対して理解力が高くて素直に吸収できる。何というか、自分流を押し付けない姿勢というか。いろいろなクライアントの、いろいろな話を聞いてコピーを書いていくので自分流だけだと応用が利かない。伸び悩む人のコピーは業界っぽいというか、コピーっぽいというか。ありふれた広告や販促物の言葉を並び変えただけに見えます。そう言った指摘のポイントを理解して修正していける人と「怒られちゃった。」で終わる人とでだいぶ差が出ます。コピーライター養成講座の講師の方々も、ある意味、素直ですよね。何度か仕事をした人もいるんですが、自分の作風が色濃く出ている割に、人の言っていることに耳を傾けてちゃんと聞いている。そのうえで案を出してくる。一流の人も同じなんですよね。
- コピーライターに向いている人はどんな人だと思いますか。
- 例えば、日用品のコピーって、すごく小さな言葉の違いを大切にするんです。
「髪が潤う」「髪がしっとりする」「髪が艶やかになる」「髪の水分を整える」…など、50案とか100案とか出てくるわけです。こういう言葉をどれも同じだと感じてしまう人にはコピーライターは出来ないでしょうね。
- 未経験者の強み、異業種からの転職についてお聞かせください。
- 先ほど言った、素直であるということでしょうか。自分流を持っていないというか。業界っぽいコピーごっこみたいなのはダメですよね。ウケそうに書く、面白そうに書く、今風に書くというのは本当にダメだと思います。
キャラクターが素直ということもあるのですが、言葉の選び方が素直であるということも必要です。変に難しい言葉を使わないでいいコピーが書ける人がいいかな。“広告業界の中に入ってうれしい”という人より、“広告業界に新しいことを持ち込んでやる”ぐらいの気持ちで来てもらえるといいですね。異業種から転職してくる人の価値もそこにあるんじゃないでしょうか。
- 広告賞受賞はどの程度、採用の参考になりますか。
- 広告賞は目的じゃない。大切なのは、賞を取っているコピーとそうでないものを比べて、何が違うのかを自分なりに考えることですよね。そういう意味では有効だと思います。採用では、課題に対してどう答えたかだけで判断するようにしています。広告賞はあくまでも、オマケ。講座での課題の評価も同じです。貰うものであって、取りに行くものじゃないと思います。努力の結果ということでしょうか。
- 学歴などはどう評価していますか。
- うちの会社はまったく関係ないですね。いいコピーを書くのに関係ないですからね。趣味とか特技とかと同じで、学歴も属性の一つだと思います。“テトリスがうまい”と一緒です(笑)。
- これからコピーライターを目指す方へメッセージを。
- 読み手である生活者を意識できるコピーライターになってほしいですね。クライアントとコピーライターの間でコピーを書いても、読み手である生活者が読んでくれないと意味がない。コピーライターは書き手ではなくて、“最初の読み手”であると考えるといいと思います。簡単に言えることだけど難しい。
それとコピーを書く前の要素整理。生のデータから伝えるべきメッセージを絞り出して重み付けする編集力が必要だと思います。